2017/02/27
| 第一章 住吉講及び常夜石灯籠の歴史(7) | | (七)平成3年「御大典記念」の改修 | | 昭和3年に昭和天皇の即位に伴う「御大典」が挙行され、それに合わせて石灯籠が改修されたのは記憶に新しい。この度も、昭和天皇の崩御に伴い年号が「平成」と改められ、近く挙行されるはずの「御大典」に合わせるかたちで石灯籠の改修が企画された。そして平成3年(1991年)5月10日に除幕式が行われたのであった。当日の模様と続いて5月27日に開催の完成祝賀会について「玩具商報」7月号は次のように伝えている。 大阪玩具・人形住吉講(松井保講元)は、約2年間にわたって大阪と東京の玩具・人形業界に一口20万円で、住吉大社常夜石灯籠の改修協力を依頼してきたが、このほど完成、その竣工除幕式を5月10日、住吉大社で行った。まず神殿での式典は、中須久夫副講元の司会で進行。出席者一同がお祓いを受け、来賓による玉串奉奠ののち、松井講元が今回の協力に謝辞を述べたあと、「今後の常夜石灯籠の保存に、より一層のご支援をお願いしたい」と挨拶した。 続いて改修された常夜石灯籠の除幕式に移り、神官によるお祓い、来賓の八木ひろし大阪府議会議員、徳永隆生 龍屋社長、山浦博 大和玩具社長、熊野伊三郎 人形の熊野社長、木村広治 木村人形店社長、山田徳兵衛 吉徳社長、富山允就 トミー会長らによる除幕が行われた。 完成祝賀会は5月27日オープンの住吉大社記念館で開宴。森清一副講元が「先ほどごらんいただいたように、私どもの先駆者が立派な石灯籠を寄進され、今日まで230年の歴史を刻みました。先駆者の偉業に感嘆するとともに、意義をしのびたい」と挨拶。来賓挨拶、記念品贈呈と続き、大阪府玩具問屋協同組合徳永隆生相談役の祝杯で開宴、尾上幹太副講元の閉会の挨拶で終了した。また祝賀会当日に配られたパンフレットには石灯籠の由来について次のように記しているので紹介する。
玩具商石灯籠の由来 住吉大社は海上平安の守護神・農業・産業の神として世人の崇敬篤く、玩具商の先駆者たちは往時その取り扱い商品の殆どを海上輸送に頼り、関東、東海・四国・九州はもとより唐・韓・和蘭等の国外まで堺港を中継して交易した。 また淀川を利用して八軒家から川舟にて、平安文化により発展した雛人形を初め畿内と関東方面の交流は旺盛を極めた。 徳川時代の中期に至りて浮世絵・錦絵の発明から押絵羽子板の進歩を生み、竹田出雲・同近江のからくり人形芝居平賀源内のエレキテル発明等の刺激を受けて、これらを玩具の製作に取り入れ玩具業者の数も年々増加し「もちあそび屋」と呼ばれた初期を脱した。 そして翫物商といわれるまでに繁栄し自然と堺港に近き住吉大社の信仰も篤く、その御神徳にお願いするに切なるものあり、各地に住吉講が生まれ江戸住吉講、京都住吉講、大阪住吉講等が明治初期まで続けられた文献が今に残っている。宝暦12年玩具業界の先輩たちは交通・通信・その他の不便を克服して住吉大神の御神徳に答えるために、立派な石の常夜灯2基を奉納したが、半世紀の長い風雪に傾斜、汚染甚だしくなり文化5年これを再建されました。 次いで明治15年にはまた補修を加え復元したのであるが、昭和3年御大典記念神域整理がおこなわれるにおよび現在位置に移し舞台を改装構築し、昔日の秀麗なあで姿で一段と輝きしめたのである。 爾来玩具業を志し、またこれを継承した人々に無言の教訓や生きたシンボルとして、御神徳の広大無辺と玩具業の力強き光を放ち世人の注目を集めるに至ったのである。 今や玩具は世界有数の生産国と言われ、輸出額も年々増加し我が国雑貨貿易に占める度合いは大きく、その昔近海航路の海上安全の守護神としての崇敬は世界の七つの洋上を渡り行く玩具の航海安全の加護を願う次第となった。 この玩具商奉納の石灯篭も昭和・平成の御代に生きた玩具業界人の手を以って燈篭の改修を行い、いついつまでもこの文化財を後世に伝えるためここに全国玩具・人形業者有志の協賛を得て、目出度く改修を見たものである。 この平成3年の改修に協力された方々の名は南基・北基の各台座に刻まれているが次の通りである。
南基 株式会社浅草玩具 池田玩具株式会社 同 池田裕恒 同 池田雄計 同 池田招弘 石原真二 岩井正弘 株式会社栄進堂 株式会社エポック社 株式会社近江屋 大阪玩具株式会社 同 筒井辰治 起屋野田玩具 熊本道雄 小林商事株式会社 同 小林一雅 株式会社小松トーイ 同 赤松昇治 佐々木誠一 佐藤安太 株式会社柴田玩具 株式会社ダイリン 同 井平康彦 株式会社ダイヤトーイ 大和玩具株式会社 同 山浦 博 玉山徳治郎 株式会社トーエイ 戸所正敏 株式会社トミー 同 富山允就 中川順三 中山隆治 浪花惠昭 縄田寅雄 縄田敏雄 根岸トーイ株式会社 同 根岸伸行 野村芳朗 ニッコー服部 健 株式会社バンダイ 同 山科直治 株式会社富士屋 同 森口哲志 松井栄玩具株式会社 同 松井 保 同 松井 裕 同 松井 隆 同 早崎 福雄 同 廣澤 仁 株式会社松村商店 同 松村忠雄 三和道雄 森 和弘 森 崇恵 株式会社モリガング 森 清一 森 敏恵 森 健至 森 康至 株式会社森本正商店 同 森本 正 株式会社商報社
北基 赤瀬産業株式会社 大阪雛人形株式会社 株式会社大幡工作所 株式会社花月人形店 株式会社勝村人形 神谷人形株式会社 株式会社河崎人形 株式会社松月木村人形店 同 木村廣治 株式会社勝翠作二條 株式会社久月 人形の久宝堂 人形の熊野 三世 元賀章介 寿人形店 株式会社太鼓正 株式会社大宗 株式会社人形の天明館 有限会社犬や号中井商会 京都あしだや中山人形店 成川隆次郎 株式会社西丸人形 富士雛人形株式会社 増村人形店増村和行 同 増村シゲ子 株式会社松よし人形 丸岡太鼓楽器店 株式会社三喜 美濃村和男 柳井初商店 株式会社大和 山本 茂 吉徳11世山田徳兵衛 株式会社イシグロ 同 石黒為三 株式会社大阪屋商店 株式会社尾上 萬 同 尾上幹太 株式会社甲山屋 株式会社島傳 株式会社スターコーポレーション 株式会社タイガーゴム 大二玩具株式会社 株式会社辰巳屋 株式会社龍屋 株式会社タニカトーイ 株式会社玉置周宏商店 同 玉置昭次 株式会社とらや 株式会社中須金属工業所 同 中須久夫 株式会社仲谷商店 株式会社ニシノ 株式会社日月屋 廣田幸次郎 福助製菓株式会社 株式会社藤田屋 松野工業株式会社 株式会社丸善商店 宮城昭三 みつわ屋三和道雄 株式会社ヤングマルマン 株式会社渡壁正一商店
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